■ 恋人がドSなんですが、どうしたらいいですか?5題 限界がきたら、 2.優しさが欲しいなあと呟いてみなさい |
答えの出ない悩みに、頭の中はぐるぐるぐるぐる。 だけどどんなにフル回転したって答えがないなら解決しようがない。 そして、単細胞の俺はいつまでも悩んでいるのは苦手だった。だから、 「ハッキリさせてやる!」 その夜、俺は両腕を腰にあててドン!とジェネシスの部屋の前に立った。真面目に話をして、もし俺の事なんかどうとも思ってないなら、別れよう。 最悪「付き合ったつもりはない」と言われたっていい。このまま、生殺しになるくらいなら、ハッキリさせておもいっきり傷ついて、泣くだけ泣けばまたソルジャー仲間に戻れる。 そうすればいいんだって自分に言いきかせ、ひとつ深呼吸してからジェネシスの部屋のカードキーを差した。 「どうした?仔犬」 「あ、あのさ…」 ジェネシスがリビングのソファーでゆったりと寛ぎながら本を読んでいるのはいつもの光景。 「用があるなら早く言え」 でも、今夜はその本から一瞬も視線を逸らせてもくれない。俺が近くに来ても傍に立っても、少しも変わらなくてなんだか心細くなる。 「う、うん…」 何で本から目を逸らさないんだろう。目の前に俺が立っているのに、やっぱり俺の事なんかどうでもいいのかな…って、考えたら何だか泣きそうになってきた。 でも、ここで引き返したら駄目だ。もうハッキリさせるって決めたんだから。 「なぁ、ジェネシス…俺のこと…す、好き?」 一度はこてんぱに返された質問をもう一度。でも今後はジェネシスの返事が来る前にさらにたたみかけてみる。 「好きなら、ちゃんと答えて!…ゃ…優しくしてくれよ…」 精一杯に告げた声は少し震えてた。でもこれで真剣だって分かってくれるはず。…と、ほんの少しの期待を込めてジェネシスをチラリと見れば……… 「?!」 背筋がゾクリと凍るような目で……俺を睨んでた。 |
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