■ 優しい部屋 
06 

 

白い部屋の中でザックスと過ごす日々は繰り返し過ぎて行く。

クラウドが目覚め、ザックスが現れる。
ザックスがクラウド上体を起こし、クラウドが薬を飲む。
その後、クラウドはザックスの胸に凭れ宥められながら、ザックスから沢山の話を聞くのだ。


『髪、少し伸びたんじゃないか?細くて柔らかいくせに相変わらずの癖ッ毛だよな。ま、癖に関しては俺も人のこと言えないけど』

『笑うなよ?これでもちょっとは気にしてトリートメントとかした事があるんだぜ?
でも、なんでだろうな~、ちーっとも変わんねぇんだ。
せっかく会社から一番高級なヤツを拝借してきたのに。あ、これ内緒な? ははは』


『クラウドの手って、昔から綺麗だよな。グローブで隠すの勿体無いくらいだ。あ、でも、グローブしないと傷つくかぁ。それは嫌だなぁ。
見たいけど、傷つけたくないし。なぁ、こういう場合はどうすればいいと思う?』


何でもない事を楽しそうにザックスは話す。
クラウドが返事を出来なかったとしても、それは変わらない。
クラウドはそんなザックスの話が好きだった。
昔からずっと、いつでも。そう、今でも。


『クラウドも、また笑えるようになるといいな』


ほら。と、ザックスが指差す先にクラウドが目をむける。
そこには、クレパスで描かれた絵が壁に貼ってあった。
黄色の髪に青い目の人物が笑っている子供らしさが溢れる絵。
そこには、その子供の願いが込められていた。






――クラウドがはやくよくなりますように――





……。





『みんな、お前を待ってる』




クラウドの中で、チリリと何かが燻りだしていた。









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