■ 優しい部屋 
01 

 

クラウドが目を覚ますと、そこは白い部屋だった。




白い天井。

白い床。

白い壁には窓がひとつ。

その窓にはかすかに揺れる白いカーテン。




部屋の中にはベッドがひとつと、その横には小さなテーブルがひとつ。

クラウドはそのベッドに横たわり、光を失った瞳孔の定まらぬ瞳でぼんやりとと天井を見上げていた。






何もかもが、白。



血の気の無くなった薄い唇を開こうとする意思はなく、瞳の焦点も定まらない。





ここは、どこだったろう?


自分は、誰だったか?



僅かに浮かんだ正常な意識はまるでそれを拒否するかのように、すぐに掻き消されていく。


自らが掻き消した白。


自らが作り出す白。



白。



白。




だからだろうか。


クラウドは、この白い世界にひどく安息をもたらされている気がしていた。

















ここには、悲しみがない…







だから…


お前に会えるかもしれないんだよな?





なぁ…











ザックス

















起きている事に疲れ、クラウドは再び目を閉じる。



深い深い眠りの中にクラウドの意識が散っていく。 

どこか遠くの方からクラウドを呼ぶ声が微かに響いたが、その声は言葉にならぬまま、クラウドに届く事は無かった。







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