■ After The Battle 
第一章 
第4話 黄泉の密約 11 

  
 
 数日後、ザックスは自分の部屋のベッドの中で携帯のメールを打っていた。





セフィロスへ。


 セフィロス!俺、ザックス!
 今日、病院を退院してきたんだ。そしたらアンジールが、お祝いにセフィロスのメールアドレスを教えてくれた!
 いつ読めるか分からないし、返事も来ないかもしれないって言われたけど、でもそれでもいい。だってこれセフィロスに届くんだろ?
 それだけで嬉しい!すっごく嬉しい!

 えっと、病院の方だけど、本当は退院じゃなくて我侭言って出してもらったんだ。
 点滴とかもいっぱいしたしポーションも飲んだけど、俺への効果はあんま無いんだって。ご飯食べて元気になるしかないらしいよ?
 だったらさ、病院食よりアンジールのご飯の方が絶対にいいに決まってる。だから帰ってきちゃった。
 看護婦さんは綺麗だったけど、セフィロスの方がもっと綺麗だしさー。
 退院してもセフィロスに会えるわけじゃないけど、でもミッドガルにはセフィロスの写真がいっぱいあるからそれで我慢する。

 あ、あとジェネシスがさー、退院祝いにピアスをくれたんだけど、ひどいんだ。
 ピアスホール無いって言ったら、必要ないって言ってブスッ!って刺してきたんだ!
 ブチッ!って音がしたよ。怖かったよ。
 なぁ、ジェネシスってドS?ドSなの?
 でも大切にする。ありがと。


 これからもたくさんメールするな。
 楽しみにしてて。




                                                                                 ザックス





「あと、写メ写メ」
 携帯のフォルダを開き、ザックスはメールに写真を添付する。
 選んだのはピアスを付けた直後の写真、目は涙目だが顔は笑顔の写真だ。
 左の耳に付いた青い石は、セフィロスから渡されたマテリアの核。表面を加工し、ただの石に見えるようカモフラージュしたもの。
 その事をメールで触れるわけにはいかないが、セフィロスならばきっとすぐに気付いてくれる。だからこそザックスは、初めて送る写真にこれを選んだ。
「よし、送信」
 送信キーを押すと共にメールの送信画面が動き、ザックスの鼓動は高鳴る。

 Mail sending completed.

「やたッ!」
 無事に送られたメッセージに、ザックスは満面の笑みでニッコリと笑った。







【第4話・完】



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